保険診療の銀歯というのは、治療費を安く抑えられる反面、口元の審美性を低下させてしまうという欠点も併せ持っています。それだけに、治療後しばらく経ってから「やっぱり白い詰め物に代えたい」と後悔される方も少なくありません。ここではそんな白い詰め物にかかる費用などを詳しく解説します。
保険診療の「詰め物」の種類と特徴
保険診療では、詰め物である「インレー」を製作する際、2つの材料を使用することができます。
メタルインレー(パラジウム合金)
◎メタルインレーの材料
メタルインレーは、文字通り金属製の詰め物です。金、銀、銅、パラジウムなどから構成される「パラジウム合金」で製作されます。一般的に銀歯と呼ばれている修復物ですね。
◎メタルインレーの特徴
- 費用が安い
- 硬くて摩耗しにくい(対合歯は傷付きやすい)
- 金属色が目立つ
- 金属アレルギーのリスクがある
- メタルタトゥーの原因となる
メタルインレーは、保険が適用されることから比較的安い費用で詰め物を作ることができます。また、金属であることから強度が高く、摩耗しにくい性質を持っています。これは噛み合う天然歯を摩耗させやすいことから、必ずしもメリットとは言えません。その他、金属色が目立ったり、金属アレルギーやメタルタトゥーのリスクが存在していたりするなどのデメリットも挙げられます。
コンポジットレジン
◎コンポジットレジンとは?
コンポジットレジンは、歯科用のプラスチックです。流動性を持ったレジンを歯質に流し込み、光で固めることから、歯型を採る必要がありません。最短1日で治療を完了させることも可能です。
◎コンポジットレジンの特徴
- 費用が安い
- 治療期間が短い
- 摩耗や変色が起こりやすい
- 破損しやすい
- 適応しにくい部位がある
コンポジットレジンは、白色を呈していることから、銀歯よりも審美性に優れています。材料費も安価で、操作性も良く、使い勝手の良い修復材料といえます。ただ、経年的な摩耗や変色、変質などが起こりやすい傾向にあります。また、強度の不足から強い力で噛む部分には適さない材料といえます。
自由診療の「詰め物」の種類と特徴
自由診療では、白い詰め物や生体親和性に優れた材料を自由に選ぶことができます。
セラミックインレー・スタンダード
金額:¥35,000(税抜)
◎セラミックインレー・スタンダードの材料
歯科用陶材であるセラミックのみを使用します。
光の透過性に優れ、自然な色合いを追求できることから、最も天然歯に近い見た目を手に入れることができる材料です。
◎ハイブリッドセラミックの特徴
- 強度が高く割れにくい
- 汚れがつきにくい
- 経年的な劣化がほとんど起こらない
セラミックは、強度が高く、割れにくい傾向にあります。汚れもつきにくく、経年的な変化がほとんどない安定した材料です。
セラミックインレー・プレミアム
金額:¥50,000(税抜)※2年保証
◎セラミックインレー・プレミアムの材料
セラミックインレーでは、歯科用陶材であるセラミックのみを使用します。光の透過性に優れ、自然な色合いを追求できることから、最も天然歯に近い見た目を手に入れることができる材料です。
※材料はセラミックインレー・スタンダードと同様のものを使用しますが、よりご自身の歯に近い仕上がりになります。
◎セラミックインレーの特徴
- 強度が高く割れにくい
- 汚れがつきにくい
- 経年的な劣化がほとんど起こらない
- 透明度や色、質感などが天然歯にそっくり
セラミックは、強度が高く、割れにくい傾向にあります。汚れもつきにくく、経年的な変化がほとんどない安定した材料です。
セラミックインレー・スタンダードよりご自身の歯により近い色や歯の溝の着色などを表現することができます。
ジルコニアインレー
金額:¥70,000(税抜)※2年保証
◎ジルコニアインレーの材料
ジルコニアは、人工ダイヤモンドとも呼ばれる材料で、極めて高い強度を誇ります。セラミックの一種でもあるため、天然歯に近い色合いを出すことも可能です。
◎ジルコニアインレーの特徴
- 強度が極めて高く割れにくい
- 汚れがつきにくい
- 経年的な劣化が起こらない
- 天然歯に近い色を再現できる
ジルコニアインレーは、その強度の高さから、大臼歯の修復に適した詰め物といえます。一般的なセラミックと同様、汚れがつきにくく、経年的な劣化もほとんど起こりません。審美面においてオールセラミックに劣りますが、強度面においては優ります。
ゴールドインレー
金額:¥40,000~¥60,000(税抜)
◎ゴールドインレーの材料
ゴールドインレーの材料は、金と白金です。一般的には「金歯」と呼ばれる補綴物です。
◎ゴールドインレーの特徴
- 天然歯と同じくらいの硬さ(対合歯が摩耗しにくい)
- 汚れがつきにくい
- 生体親和性が高い
- 虫歯の再発リスクが低い
- 金属色が目立ちやすい
ゴールドインレーは、セラミックインレーやメタルインレーほど硬くないため、天然歯が傷つきにくいです。また、金属ではあるものの、生体親和性が高く、身体への悪影響も少なくなっています。さらに、歯質と密着させやすい材料であることから、虫歯の再発リスクが低くなっています。
まとめ
このように、白い詰め物を入れようとしたら、自由診療となってしまうのが現状です。ただ、費用が多くかかるという欠点を除けば、審美性や機能性、耐久性に優れた修復治療が行えることから、治療を希望される方も増えてきています。ですので、治療を受ける際には、どこに優先順位を置くかを明確にしておくことが大切です。